西オーストラリア州政府

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2017.08.22

電気自動車の成長により強化される州リチウム鉱業

電気自動車や再生可能エネルギーへの関心が高まっていることから、多数の記事がリチウム生産の世界的な拠点としての西オーストラリア州の状況を特集してきた。

リチウム市場の最大手企業によるハイテク金属の供給を巡る争奪戦により、900億ドル規模のオーストラリア鉱業の170年を迎える中心地(西豪州)の開発速度は増加した。電気自動車やエネルギー貯蔵に必要な、リチウムイオン電池への増加する中国の需要により、すでに世界最大のリチウム生産国であるオーストラリアに大幅な価格上昇と資源ブームがもたらされている。急速に発展している拠点は世界的な生産者や、最大の消費国である中国の化学製品、電池メーカーから投資や取引を受けている。

州内にはリチウム生産拠点が4カ所があり、生産開始予定の主要プロジェクト3件が進行中だ。コンサルタント企業Benchmark Mineral Intelligenceによると、主要プレイヤーは、今後20-30年間の供給を確保するため、州内での取引について調査を継続する見通しだ。同社サイモン・ムーア社長によると、投資に真剣な企業や、最大かつ長期の資源を確実にしようとし始めている企業があり、次はどの企業だ?という状態だ。

世界最大の硬岩リチウム鉱山Greenbushes(西豪州)は、Tianqi Litium社(中国)とAlbemarle Corp社(ノースカロナイナ州)のジョイントベンチャー、Talison Lithium社により、年産能力を倍以上に拡大している。オーストラリア連邦政府によると、1888頃に初めて錫を産出したこの鉱山は、すでに世界のリチウム生産の約30%を占めている。Tianqi社はまた、約7億1,700万豪ドルをかけ処理プラント拡張を計画中だ。

5月には、Mt. Marion(オーストラリア)プロジェクトの約43%を保有するJiangxi Ganfeng Lithium社がPilbara Minerals 社との間で、鉱山開発のため供給投資協定に合意した。7月には、電池メーカーShaanxi J&R Optimum Energy社がAltura Mining社プロジェクトの将来の生産について契約を取り決めた。これについてMt. MarionプロジェクトでGanfeng社およびMineral Resources社のパートナー企業であるNeometals 社長クリス・リード氏は次のように述べた。「リチウム供給においてこれまででもっとも大幅な拡大であるが、それでもまだ供給目標には達していない」。

7月にはまた、世界第2位のリチウムサプライヤーSoc. Quimica & Minera de Chile SA社が、2021年までに生産開始予定のKidman Resources社Mt. Hollandプロジェクト(西豪州)の50%に相当する約1億1,000万ドルを投資した。これは南米以外の投資として初となる。

UBSグループAGによると、主要な基礎化学物質である炭酸リチウムの価格は、2016年までの5年間に倍以上となった。Benchmark Mineralによると、オーストラリア輸出が増加したとともに、炭酸リチウム価格は前月から約5%増加し、7月には平均14,250ドル/MTNとなった。「今後3年間は価格下落はないだろう。建設中のすべての電池工場や計画中の電気自動車工場を見ると、そのうちのわずか25%しか実現されていないとしても、すでにリチウム不足になることがわかっている。つまり、一世代に一度の状況ということだ」とBenchmarkムーア社長は述べた。

Bloomberg New Energy Financeによると、中国企業は2021年までに年間約120GWhを産出する電池工場を計画しており、実現すればTesla社のGigafactory(ネバダ州)の3倍超を生産する。すでに世界のリチウムイオン電池生産の約55%は中国を拠点としており(10%はアメリカ)、2021年までに中国のシェアは65%まで成長すると予測されている。

電気自動車は電池価格が急落することで、化石燃料を動力とする自動車を20年以内に上回るとBloomberg New Energy Financeは予測している。Galaxy Resources社財務責任者、アラン・ルール氏によると、世界最大手の自動車メーカーが原材料確保の争奪戦に参戦しており、メーカーは長期的な供給について大変懸念し、確保のため直接交渉を求めている。Galaxy社は西洋の主要自動車メーカーを訪問し、なかには200件を超えるリチウムプロジェクトや開発企業を見直ししている企業もある。

Mineral Resources社とGalaxy社はオーストラリア国内の生産者で、今年中国向けのリチウム濃縮物の輸出を始めた。一方Pilbara Minerals 社のようなプロジェクト開発企業は、2018年以降の輸出を目標としている。UBSの6月報告書によると、プロジェクトによりオーストラリアは独占的なプレーヤーとしてその地位を固めている。

出典: Bloomberg.com
写真: Talison Lithium