西オーストラリア州政府

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2017.07.14

西オーストラリア州 防衛産業

導入

2016年2月25日の国防白書発表に続き、オーストラリア連邦政府は2025-26年までの10年間に1,950億ドルを防衛力に投入することを発表した。

また国防白書と併せて、2025-26年までの10年間の防衛装備、資源提供に関する主要な投資計画案の概要をまとめた総合投資計画(Integrated Investment Program)が発表された。このなかで、連邦政府は3,300億ドル超を、防衛装備や資源、インフラ、情報通信技術、科学技術、労働力を網羅する6つの分野に投じることを約束した。これと並行して、国内防衛産業能力の開発および持続と、産業がその重要な動力として認識されるという連邦政府の目標を明らかにした防衛産業政策綱領(Defence Industry Policy Statement)が発表された。

西オーストラリア州政府が現時点で発表した将来的な海軍造船プログラムの役割:

  • 西豪州を拠点とする造船企業Austal社は、太平洋巡視艇(Pacific Patrol Boats)を最大21隻製造および維持する(3億500万ドル)。2017年造船開始。
  • SEA1180プログラム下でヘンダーソン(Henderson)において、海洋巡視船(Offshore Patrol Vessels)12隻のうち10隻を製造(30億ドル)。最初の2隻は、南オーストラリア州アデレードで2018年から製造され、その後2020年に西オーストラリア州での製造へ移行予定。
  • SEA500将来フリゲートおよびSEA1000将来潜水艦プログラムの造船および維持分野での西豪州の貢献が期待される。

西豪州には、多様かつ生産的な防衛産業があり、国内外の防衛市場へ貢献できる能力を備えている。海軍艦艇の製造を継続して行う2箇所のうちの1つにヘンダーソンを選定したという連邦政府の発表は、州の能力およびインフラが認められた証拠である。

連邦政府により提案された費用規模は、造船および維持の両面において州防衛産業にとり重要な機会を示す。

世界全体の防衛市場は年間約1兆7,000億米ドルである。アメリカは2015年には総額5,955億米ドルを支出し、2005年以降変わらず世界最大の防衛支出大国である。世界的に緊張の高まるなか、中東、東欧、北朝鮮および東/南シナ海において防衛、軍事製品への需要が高まっている。

 

防衛力概略

西オーストラリア州にはアンザック級フリゲート8隻のうち5隻、コリンズ級潜水艦6隻全てとシリウス補給艦という12隻の艦艇を備える豪州最大の海軍基地HMASスターリングが位置する。これにより、州は2,299名の常勤職員と768名の予備職員を誇り、人員数で海軍最大の武装基地である。

西豪州防衛産業は、HMASスターリングに停泊する艦艇の修理、メンテナンスや維持の分野で数十年にわたりその能力に磨きをかけ他を先導してきた。また、州の海軍造船、修理、メンテナンス、改修そしてその維持において多額の官民投資が行われてきた。

西オーストラリア州政府は、これまで20年以上にわたるその深い関与に示されてきたように国内海軍産業の持続可能性に非常に強い関心を持っている。州政府および連邦政府はヘンダーソンのオーストラリア・マリン・コンプレックス社(Australian Marine Complex)の共用インフラへ約4億ドルを投資してきた。

マリン・コンプレックス社は防衛、石油、ガス、海洋および鉱業分野に従事する150社を超える企業の拠点である。

州政府および連邦政府の共同資金1億8,000万ドルにより、オーストラリア・マリン・コンプレックス社共用施設の開発ステージ1が2003年にオープンし、海外の競合他社との競争に勝つため、プロジェクト開発に参加できるように地元企業に提供された。

共用施設の最重要点は、資源セクターを支える製造、製作、組み立ておよびサービスやメンテナンスを支援するインフラを提供することだ。

州政府、連邦政府および国防省間での協議を受け、州内閣は開発ステージ2へ1億7,000万ドルの資金を承認した。ステージ2とは追加の埠頭使用やインフラおよび浮きドックのステージ1、主にコリンズ級潜水艦およびアンザック級フリゲートの維持を含む。

共用施設には、最大12,000トンの艦艇を持ち上げる能力、40haの広さを誇る共用の一時置き場、組み立て場、200トンのクレーン能力を持つ製造場所と重荷重用の道路システムを備える最新鋭の浮きドックがある。

西オーストラリア州防衛産業は、防衛産業への供給が同時に資源産業へも供給される傾向がある点で他州のそれとは異なる。近年の州資源セクターへの投資には、防衛分野にも移行可能性のある幅広い技術開発や経験も見られる。西豪州を拠点とする多くの中小企業は、専門的能力を開発し、新しく革新的な技術に投資し、従業員の技術向上に努め、防衛サプライチェーンに自らを組み入れている。

西豪州は地理的にも、C4ISR(指揮、統制、通信、コンピューター、情報、監視、偵察)製品サービス、ソフトウェアデザイン開発、サイバーセキュリティ解決における防衛産業能力においても、新しく革新的な防衛関連技術の国際市場への輸出にあたり有利に位置している。

 

Defence West

「西豪州労働党雇用計画」の一環として新政権は、西豪州防衛提唱者(WA Defence Advocate)を任命するとともにDefence Westを設立し、州防衛産業の意向を支援し、雇用およびビジネス機会を創出する。

2017年5月26日、西豪州政府は防衛分野での契約や雇用を州にもたらすことを目指しDefence Westを設立し た。

Defence Westは防衛戦略を準備し、積極的なキャンペーンで国の防衛分野契約のより多くの割合を確保する努力を指揮する。

州防衛提唱者は間もなく任命され、連邦政府大臣、防衛分野の政府高官やその他重要な政策決定者とともに州防衛産業の意向を支援するための専門家委員会が設立される。

また、Defence Westはインド洋展示会(Indian Ocean Trade Show)をパースで隔年開催し、州の様々な能力を推進していく予定だ。